テンヨーのマジックの多くは自己完結型、あるいは内蔵式という特徴を持っています。例えばケースを使うマジックであれば、ケースの中ですべてが行われ、何かをひそかに抜きとったり、外部に秘密の部品を使ったりすることがないということです(できる限り演技をやさしくしたいという欲求からの帰結であり、クリエーターは自らにその条件を課して考案します)。したがって、ケースの中に入れられた物体は、そのマジックを達成するために、さまざまな形でもとの場所から移動したり、状態を変えることになります。「サスペンスボックス」は、ケースいっぱいにタバコを入れるので、一見そのようなことができないように見えますが、別のアプローチで、結果的にその状態を作り出しています。
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