白い紙をお札に変えるというのは、人の願望をかなえる夢のある現象といってよく、マジックのテーマとして古典といえます。2本のローラーを使うものは、そのひとつであり、観客の見ている前で変化する点が優れた点ですが、形状が現代的ではなく、携帯性にも優れません。一方サイフやケースの中で変化するというタイプは、形状がスマートであってもいったん白紙を隠してしまうため、全体をすり替えた感じが出てしまいます。印刷機はケースを使いながら、徐々に変化するというビジュアルな効果にこだわったものです。実際の発想では、そのような論理から始めたわけではなく、直接はあまり関係のないロイ・ウォルトン氏の「カードワープ」をひとつのモチベーションとしています。徐々にカードが変化していく、というイメージが大変魅力的で、なんとかそのように白紙をお札に変えようとしたものです。
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