マジックを少しかじった方なら、親指の先を反対の手でつかんで引き離して見せるという現象をご存じと思います。これは特にタネを使用せず、人間の指の機構を利用して行うマジックです。人間の体を素材にして一種のマニピュレーションのような操作を行い、あり得ない状況にしてみせるというのは、指、腕、足など、いろいろな箇所を使って行われてきました。真光渚さんの考案した、手首を360度ひねってみせる「ツイスティングアーム・イリュージョン」などはその種のマジックの傑作です。さらに多少のギミックを加えることにより、現象も多様にかつ不思議なものが生み出されています。有名なものでは、ケビン・ジェームズの"切られた腕が生きているかのように動く"という現象がありますし、スティーブ・フィアソンはなんと自分自身の胴体を目の前で切り離してしまうという刺激的な現象まで作り上げました。「バイオショック」はそんな流れをクロースアップマジックにとり入れたもので、生身の指を目の前で切り離して見せるという、まさにショッキングな現象です。
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