歴史的なマジック専門誌として知られる「フェニックス(Phenix)」と「ジンクス(Jinx)」の 2冊の合本から特に印象深いアイデアを選定しました。
1942年から1954年の12年間、隔週発行されていたフェニックス。 この中では当時活躍していた才能あふれるマジシャン達が実践的なアイデアを発表していました。 その後に発行されたニューフェニックスと合わせた全7巻、1600ページには宝のようなアイデアが凝縮されています。 ジンクスはテッド・アンネマンが編集した全3巻、800ページの雑誌です。
この2冊から意外に知られていない、ユニークなコインマジックと指輪マジックを解説しました。
▼解説内容
▼J.Gトンプソン ジュニア 「ミステリー オンザ ハーフシェル」
ハーフダラー シェルを使った出現・消失・貫通の3現象が起こります。ワンコインルーティンとして演ずる手順です。
▼ジャック・ミラー「ピック アップ」
床に落としたコインを拾い上げ、手を開くとコインは消えます。手を空中に伸ばすと指先に消えたコインが現れるプロタッチの即席に見せられるコイントリックです。
▼二ーツ・ライプ ツィッヒ「ニージー!」
膝の上にコインを乗せて指先で擦るとコインは溶けるように消えます。
手は広げて見せ、袖もめくり上げて見せますがコインはどこにもありません。意外に知られていないコインバニッシュです。
▼テッド・アンネマン「ツー ペニー スタンツ」
指先に乗せたペニーコインを手の平に打付けて指先を持ち上げてもペニーコインは指先に乗ったままになっています。今度はコインを手の平に平らに乗せて真上にソッと放り上げます。
コインは平らのまま放り上げられるはずが空中回転した状態になります。
▼スチュアート・クレーマー「ジャスト プリンテンド」
ジンクスから紹介するこのトリックは当時、多くの偉大なマジシャンや仲間から今まで見た最高のコイントリックだ。 と呼ばれたトリックです。
▼フレドリック・ユージン・パーウェル「リング ゼア ワズ」
当時、このような素晴らしいトリックが行われていました。壺状の中に客の指輪を本当に入れて火をつけて燃やします。テーブルのお皿には1個の生タマゴをパックから選んだものを客に置いてもらいます。タマゴをスティックで割ると中から客の指輪が出てきます。
指輪の代わりに穴開きのチャイニズコインでもできる驚きのトリックです。
平成15年12月 28日 発行
著 者 増渕 睦彦